政界再編を直視しよう
加藤 秀治郎
東洋大学法学部教授、政策研究フォーラム副理事長
臨時国会では、表舞台とは別に、舞台裏での政党再編劇にも目が離せない。
政党交付金の関係で、政党再編は例年、年内が山場となるからだ。
「みんなの党」は連日の内紛だし、堺市長選で敗れた「維新」も先行きの見通しが暗い。
民主党でも首相経験者二人が対照的な動きを見せ、同じ党とは思えない状況を露呈している。
野田前首相が、米国での講演で集団的自衛権に前向きな考えを表明するとともに、自らの実績に原発再稼働を挙げたのに対し、
もう一人の菅元首相は、脱原発を改めて主張し、無所属候補の応援で処分されたことを批判する文書を配布し、「新たな政治勢力」結成の努力を宣言した。
ここまで来た以上、お茶を濁す対応ばかりでは良くないと思われる。
以下は私の全く個人的な見解だが、読者にもよく考えてみていただきたい。
責任を担う政治家として首相の職を経験した者なら、どうして菅氏のような言動になるのか、私には理解できないのだが、
そういう勢力が混在しているのが現在の民主党であり、他の政党の布置関係も同様である。
不自然きわまりないものであり、再編があって然るべきだと思うのだ。
自民党に対抗しうる国民政党は―共産党・社民党が存在するので―「中道国民政党」と呼んでよい勢力だが、そこに至る過程として、二つのシナリオがあると考えてきた。
第一は「ドイツ型」で、左派が少しずつ離脱し、スッキリした党になる、というシナリオだ。第二は「英国型」で、左翼の政党がないので、右派・左派とも党に残るが、
右派の覇権が確立し、左派は小勢力として残るだけ、というシナリオだ。
どうやら、わが国の民主党ではどちらも難しいのが明白になった。ここは分裂・分割という可能性も考慮に入れて、政党再編を考えた方が良い、と思うに至ったのだ。
「分割」と書いたのは政党助成法の関係で、政党交付金の奪い合いが絡むからである。
離党・脱退だと交付金がもらえないが、合意の上での分割なら、助成金は人数割となる。
つまらない計算をするよりも、交付金では譲ってもよいから、世論に見合った政党再編のため、ここは「分割」の協議をしたらよい、と思うのである。
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