新しい年に時代を切り拓く気概を持とう
谷藤 悦史
早稲田大学政治経済学術院教授、政策研究フォーラム理事長
二〇一七年十二月一日に皇室会議が開かれ、二〇一九年四月三十日に現天皇陛下が退位され、
皇太子殿下が即位されることが決定された。
政府は退位と即位の手続き、新元号の制定に関する準備を本格的に進めることになる。
そして、平成は三十一年で終わりを告げ、新しい時代へ移行する。他方で、わが国は二〇一八年九月に、明治になってから百五十年を迎える。
近代国家形成の試みから百五十年でもある。
明治はますます遠いものとなり、新しい元号を迎えると、大正とともに昭和もいよいよ遠くなってしまう。
時代は移り変わるが、時代が残した成果と取り残した課題は新しい時代に引き継がれ、新たな試みが開始されなければならない。
昭和と平成の時代が、次の時代に残した最大の課題は、人口減少と高齢化であろう。
二〇二四年ないし二五年頃に団塊の世代は七五歳以上となり、団塊ジュニアも五〇歳を超えてしまう。
わが国は、超高齢化社会の到来に伴うさまざまな問題に直面する。
平成の時代は、この問題を無視していたわけではないが新たな見通しも形成されなかった。
その意味で、新しい時代には、わが国のあらゆる知的、物的、人的資源を投入してこの問題に本格的に取り組むことが求められている。
人口減少と超高齢化が突きつける課題は多様である。人口減少は、生産年齢人口の減少を生み出す。
それは、日本の産業のみならず国力そのものを衰退させる。産業の生産力を衰退させるのみならず、消費にも影響を与えることになる。
日本社会を維持して存続させるために、生産年齢人口の減少を押し止める長期的で持続的な対策が講じられなければならない。
次の世代を担う新たな子供たちを生み育成する制度環境を、さらにまたそれら世代に豊かな能力を育む教育制度を整えなければならない。
女性や高齢者の活躍を促すための環境も整えなければならない。
外国人労働者を受け入れる制度も整えなければならない。
女性の社会進出、高齢者の再雇用、外国人労働者の広がり、これらは日本人そのものの人生計画や生活様式を変えることになる。
その変化を拒否することはできない。
新しい時代の変化を受け入れて、新しい生活様式を作り出そう。
人口減少や超高齢化に怯むことなく、自立的に明日を形成する試みを続けるのである。
|