海 外 調 査

 海 外 調 査 報 告

政研フォーラム「第9回海外調査概要報告」
 
 政策研究フォーラム「第9回海外調査」は、英国のEU離脱決定に揺れる中、南欧経済の中心国であるイタリアとスペインを訪問し、 主に経済及び政治分野について政府機関をはじめ民間の研究機関とヒアリング調査を行ないました。 スペインは、財政赤字をGDP比で3%未満に抑える安定成長協定違反を欧州委員会(EC)より通告され、イタリアは、不良債権問題が再燃しています。 両国の経済及び政治動向は、今後のEU経済の動向を左右するだけでなく、EUのガバナンスの有効性を見極める試金石ともいえます。
 2012年の南欧危機以降、欧州中央銀行(ECB) の貨幣増発とマイナス金利の金融政策で、ユーロ経済は回復したかのように言われていますが、 その実態は、高い失業率と物価が下がるデフレ型の経済停滞の持続です。 EUは、政治面でも大きく揺れています。 難民問題を契機に、EU加盟国のほとんど全ての国の選挙では、大幅に極右勢力が議席を伸ばしました。 イタリアの単一通貨(ユーロ)からの離脱論やスペインのEU懐疑派の勢力拡大の中、英国のEU離脱や反EU勢力の拡大は、政治的な不安定を助長することで、 経済にも多大なマイナスをもたらします。
 スペインでは、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)の調査研究部門を訪問し、直近のマクロ経済状況と推移の説明を受け、 金融、財政及び構造改革の全般的な政策効果が少しずつ表れていることが窺えました。ただ、それは特に労働市場改革に依拠するところが大きく 、労働コストの削減を背景とした回復基調であり、その結果、失業率は高止まり状況にあり、依然楽観できない経済状況にあることも再認識しました。
 イタリアでは、民間非営利団体の国際問題研究所(IAI)とイタリア銀行を訪問しました。 前者では、世界の主要国と同様にEUでも実施されている金融緩和政策の限界について率直な意見が聞かれた半面、欧州中央銀行総裁を輩出しているイタリア銀行では、 全面的に欧州中央銀行の金融政策を支持するだけでなく、財政統合にも積極的な姿勢を鮮明にしていました。 興味深いのは、スペイン同様、労働市場改革を積極的に進めていることですが、失業率は高止まり状態にあり、我々の帰国日にゼネストが行われたことは、印象的でした。
 スペイン及びイタリアのEU持続・強化の立場は明確で、今後の日本の経済や政治のみならず、 社会や国際の各分野で採るべき施策を考えるに重要であると確信いたしました。
 調査を行うにあたって、多くの方々からご支援をいただきました。とりわけ、在スペイン日本国大使館ならびに在イタリア日本国大使館の皆様からは、 大変お忙しい中、丁重な対応をいただきました。心から御礼申し上げます。
 最後に、第9回海外調査の実現に協力いただいた、外務省、政策研究フォーラム加盟団体、さらに調査に実際に参加いただいた皆様に、御礼ならびに感謝を申し上げます。 ありがとうございました。

1.日  程  2016年10月16日(日)〜10月22日(土)

2.訪 問 国  スペイン(マドリッド)・イタリア(ローマ)

3.訪 問 先
1)スペイン(マドリッド)
 (1) BBVAヒアリング(10月17日(月) 12:00〜13:30)
     Rafael Domenech氏(右)        団長・副団長             ヒアリング風景          ヒアリング風景
*ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)の調査研究部門を訪問し、Miguel Cardoso 氏から、直近のマクロ経済状況と推移の説明を受け、 金融、財政及び構造改革の全般的な政策効果が少しずつ表れていることがうかがえた。 ただ、それは特に労働市場改革に依拠するところが大きく、労働コストの削減を背景とした回復基調であり、その結果、失業率は高止まり状況にあり、 依然楽観できない経済状況にあることも再認識することができた。
 (2) 在スペイン日本国大使館ブリーフィング(10月17日(月) 17:00〜18:20)
     水上 正史 特命全権大使       平田 健治 次席公使         ヒアリング風景        スペイン日本大使館玄関にて
*冒頭、水上大使から明日、イベリア航空の直行便が20年振りに就航することが報告された。 また、スペインは数少ない王政が残っている国であり、日本の皇室との関係も良好であり日本食についての関心も高く、日本の民間企業力に外務省、 大使館がどう力添えしていくかを考えていると述べた。 続いて平田次席公使からスペインの概要と内政問題ならびにカタルーニャ地方の独立等の話しをされ、特に銀行の不良債権問題、経済状況、雇用状況、 外交安全保障等について説明され、スペインは暫定政権が続いていることから予算が組めず、抜本的な改革が滞っていると説明された。
2)イタリア(ローマ)
 (1) 国際問題研究所(IAI)ヒアリング(10月19日(水) 11:00〜12:30)
     Stefano Silvestri氏          Eieonora Poli氏           ヒアリング風景           ヒアリング風景
*Stefano Silvestri氏から世界の主要国と同様にEUでも実施されている金融緩和政策の限界について率直な意見が述べられるとともに、 イタリアではEU政策に沿って労働市場改革を進めているが、社会保障の取り組みが緊縮財政の影響で十分整っていないと指摘された。 また、労働市場に柔軟性を持たせる政策により、柔軟政策実施前の雇用が保障される労働者と、政策実施後の解雇されやすい労働者の2つに区分され、 社会的な矛盾が生じることとなると述べられた。
 (2) イタリア銀行ヒアリング(10月19日(水) 15:10〜16:10)
     Anna Rendina氏(中)          大岩団長(中)          ヒアリング風景           イタリア銀行玄関にて
*Anna Rendina氏から、イタリア銀行は全面的に欧州中央銀行の金融政策を支持するだけでなく、財政統合にも積極的な姿勢を鮮明にしていると述べた。 現在、イタリア経済はマイナスではないが、十分な投資までには至っておらず、更なる経済成長には金融政策だけでは十分とは言えない。 また、イタリアの潜在的なGDPを実際のGDPに繋げるためには、労働市場改革が必要であり、 同時に民間企業のイノベーションと近代化の取り組みが不可欠との認識を示された。
 (3) 在イタリア日本国大使館ブリーフィング(10月19日(水) 16:30〜17:30)
     梅本 和義 特命全権大使       団長・副団長          山内 弘志 次席公使        イタリア日本大使館玄関にて
*冒頭、梅本大使からイタリアはG7の大国グループに入っているが、英・仏・独に比べて日本における情報が少なく、あまり知られていない面が多い。 また、イタリア経済はこの1年はプラスになったものの、いまだ停滞が続いており、レンティ政権は憲法改正の国民投票を12月に実施するが、 予断を許さない状況であると述べた。続いて山内次席公使より、イタリア経済、国際環境、内政事情について話をされた。 特にイタリアの高い若年失業率、リビアからの難民問題、内政では注目が集まっている五つ星運動について説明された。 加えて日本からの投資も進んでおり、お互いのシナジーを活用するとともに、日伊150周年イベントも多数行なわれていると説明された。
4.調査団メンバー 15名(所属組織名、役職は実施時)
団    長 大 岩 雄次郎 (政研フォーラム 常務理事、東京国際大学教授)
副 団 長 川 合 孝 典 (政研フォーラム 国会議員連絡会、民進党 参議院議員)
副 団 長 高 倉 明 (政研フォーラム 労組連絡会議長、日産労連会長)
副 団 長 徳 田 孝 蔵 (政研フォーラム 専務理事)
事 務 長 重 原   隆 (政研フォーラム 常務理事)
団   員 森 田 了 介 (UAゼンセン 常任中央執行委員)
団   員 増 田 光 儀 (JP労組 中央副執行委員長)
団   員 川 本 秀 幸 (JP労組 企画局 政治部長)
団   員 石 原 政 将 (電力総連 組織局 部長)
団   員 中 山 耕 介 (JR連合 政治部 部長)
団   員 鴨 下 和 弘 (IHI労連 武蔵支部・執行委員長)
団   員 近 藤 伸 一 (住重労連 名古屋地方本部・執行委員長)
事務長補佐 西 村 真 司 (味の素労組 九州支部・事務局長)
団   員 桑 原 正 廣 (UAゼンセン イトーヨーカドー労組・中央執行副委員長)
団   員 中 井 啓 二 (UAゼンセン イトーヨーカドー労組・中央執行委員)
 調査実施に当たり、外務省・現地日本国大使館など、多くの関係者の方々にご協力をいただ きました。関係者の皆様に改めまして感謝申し上げます。
                                                      以 上
政研フォーラム「第8回海外調査概要報告」
 
 政策研究フォーラム「第8回海外調査」は、第1に、ギリシャに端を発した債務危機に対するEU(欧州連合)の政策対応と欧州域内の経済動向、 クリミアのロシア併合後の欧州連合の対ロシアと東欧外交、中東地域から激増する難民に対する欧州連合の対応を中心に、欧州連合の中核であるドイツに焦点をあて、 同国の中心的な研究機関と意見交換ならびに情報収集を行いました。 第2に、EU(欧州連合)と微妙な距離をとり、2016年に欧州連合からの離脱を問う国民投票を予定しているイギリスに焦点を当て、 その世論ならびに政治動向について研究機関と意見交換を実施することにいたしました。
 9月のメルケル首相の難民受け入れ表明から、難民の流入が激増しているドイツでは、同国ならびに欧州連合の経済政策、 社会政策に大きな影響を与えているドイツ経済研究所とエーベルト財団を訪問して意見を交換しました。 ドイツ経済研究所では、ドイツの経済政策、難民の流入にともなう経済的影響ならびに労働市場の将来的な影響を広く議論しました。 エーベルト財団では、ウクライナ紛争後の欧州連合の対東欧政策と欧州連合の安全保障、さらにドイツの労働政策ならびに社会政策を議論しました。 イギリスでは、公共政策センターならびにヨーロッパ改革センターとの意見交換を実施し、イギリスの対欧州連合政策、欧州連合からの離脱を問う国民投票の見通し、 対中国外交、イギリス国内の政党勢力の見通しなどについて意見交換しました。
 詳細は報告書で明らかにされますが、欧州連合が大きな転機を迎えていること、欧州連合の変化の中で、 それを構成する各国が新たな欧州連合政策を打ち出さなければならなくなっていることを、あらためて痛感することになりました。 それは、世界的な政治経済情勢の変化の結果でもあります。 その意味で、欧州連合、ドイツならびにイギリスが抱えている問題は欧州に限らず、わが国も直接間接に対応を迫られる課題でもあります。 欧州連合の対応が最良の策であるとは考えませんが、日本の将来的な政策開発のために、なんらかの示唆をもたらすと考えます。と同時に、 日本が共通の情報を基にした欧州との共同作業を発展させるためにも、意見を交換し議論を戦わせることが必要であると考えます。 海外調査は、そのための小さな契機です。
 調査を行うにあたって、多くの方々からご支援をいただきました。とりわけ、在独日本国大使館ならびに在英日本国大使館の皆様からは、丁重な対応をいただきました。 心から御礼申し上げます。
 最後に、第8回海外調査の実現に協力いただいた、外務省、政策研究フォーラム加盟団体、さらに調査に実際に参加いただいた皆様に、 御礼ならびに感謝をいたします。ありがとうございました。

1.日  程  2015年10月25日(日)〜10月31日(土)

2.訪 問 国  ドイツ(ベルリン)・イギリス(ロンドン)

3.訪 問 先
1)ドイツ(ベルリン)
 (1) 在ドイツ日本国大使館でのブリーフィング(10月26日(月) 17:30〜18:15)
     宮下公使による挨拶(中)        谷藤団長挨拶(中)        ブリーフィング風景          ブリーフィング風景
*冒頭、宮下次席公使からドイツにおける政権、EUにおける政治的、経済的影響力、主要な国際問題への積極的関与等の 説明を受けた。特に、ウクライナ問題、難民問題についてドイツ国内の対応ならびにEUレベルでの対応について詳細な 説明を伺った。好調なドイツ経済の中において、難民受け入れに伴う社会保障費をはじめとする財政負担増の問題にどう 対応するのか、さらにはフォルクスワーゲン問題の内外への影響、中国との関係等について質疑を行った。
難民問題については、12万人についてはEUの中で分担することを確認したものの、経済的に途上にある東欧諸国は受 け入れを拒否しており、EUが始まって以来の歴史的な挑戦や試練に直面している。フォルクスワーゲン問題は、むしろ 経済問題というよりドイツ人のメンタリティーやドイツという国に対する信頼性の問題として、ドイツ国内では深刻に捉 えている。また、中国との関係では、ドイツから中国にインフラを輸出することはあっても、中国から大規模な投資があ るとの情報はないとの報告を受けた。
 (2) ドイツ経済研究所(DIW)でのヒアリング(10月27日(火) 10:00〜11:00)
     Dr.Christian Dreger氏       谷藤団長、礒ア、徳田副団長        記念品贈呈           DIW玄関にて
*Dr.Christian Dreger氏は質疑の中で、ドイツの経済成長は2015年GDPで1.8%のプラス、2016年には2.0%に上昇する  と予想。その根拠として@好調な輸出産業、A個人消費の増加、B政府財政支出の増加を挙げた。原油安に加えユーロ  の相対的価値の低下によるドイツの輸出産業へのメリット等である。個人消費については、金融政策がゼロ金利に近い  状況のため、貯蓄よりは消費に回る傾向があり、さらには好調な経済を背景に賃上げも見込まれることから、購買力の  増加につながっている。現在、欧州中央銀行(ECB)とドイツ経済研究所が共同で、市場におけるマネー量が余ってい  るのか不足しているのかを理論的に説明できる新しいモデルを構築するプロジェクトを立ち上げ、それによると2015  年市場のマネー量は余剰ではなく、これからも量的緩和政策は続くと思われる。ドイツは他のEU諸国と比べ低金利政  策のメリットを受け、海外から資金が集まる状況にあるが、その分EU圏全体の経済成長に責任を負っている。
 (3) フリードリッヒ・エーベルト財団でのヒアリング(10月27日(火) 14:00〜16:10)
      Felix Hett 氏(中)          Jorg Bergstermann 氏         ヒアリング風景         エーベルト財団玄関にて
*Felix Hett 氏は挨拶の中で、当財団はドイツの政治システムの一部を担っており、社会民主党に近い財団として存在して いるが、政党の一部ではない。活動領域は@大学院生の研究・勉強の支援、A国内における民主主義などの政治的要素 に関する教育、B国際関係として日本をはじめ世界各地に支部を設置等である。社会民主主義的な考えを踏襲している ことから労働組合との関係も深い団体との説明があった。また、ウクライナ情勢、特にミンクス合意の実施状況、ウク ライナ危機に対するドイツ・欧州連合の役割、ドイツとロシアとの関係についての説明の後、質疑の中で、ドイツはウ クライナでの内戦拡大防止に多くの労力を割いてきたことから、ドイツ外交にとって優先順位が低いわけではないが、 ドイツにとって外交上最も懸案事項はシリアとシリアからの難民であると述べた。引き続きJorg Bergstermann氏からは、 労働市場におけるドイツの改革(アジェンダ2010・社会保障・労働市場改革)の評価と受け止め、ならびに2017年 末までに投票を行うEU離脱問題について、世論調査では51:49で離脱賛成が若干上回っているとの報告があった。
2)イギリス(ロンドン)
 (1) 在英国日本国大使館でのブリーフィング(10月29日(木) 10:00〜10:35)
*林 景一大使はEUにおけるイギリスの立場について、EU加盟国の拡大は賛成の立場だが、市場経済の統合を進 め「通貨統合」「社会的統合」「司法統合」などを深化させていくことには慎重な立場である。特に、通貨統合は90年 代の後半に大論議があり、反対する民間企業も多かった。通貨の統合は主権的な行為である「財政」「課税」の問題に 直結することから、イギリスは通貨統合しなかった。近年、ギリシャの財政危機に端を発するユーロ危機で露わになっ たことは、国民性の違いに基づく生産性の違いであり、今の経済でいえばドイツは景気が良い。昔ならばドイツのマル クが切り上がり、景気の悪いギリシャの通貨を切り下げるが、ユーロでは競争力を回復させる有効な手段が取れず、大 幅な歳出カットしか手段がない。通貨統合する前に基礎的な生産性などの平準化を進めるべきたったとの見解を述べた。
 (2) 公共政策研究所(IPPR)とのヒアリング(10月29日(木) 14:00〜15:10)
*Catherne Colebrook氏他2名は、キャメロン政権の安全保障政策について、NATOのターゲットであるGNPの 2%を全うしようとしている。トライデントという核弾頭の配備プログラムは実際に存在している。しかし、軍事費が かなり削減されているので、配備プログラムにも若干の変更が生じている。EUからの離脱については、一般的には離 脱はないとの見解である。左翼系の労働組合がEUに残ることで労働権の侵害が生じると反対しているが、産業界は貿 易の観点から一貫して残留との声が多い。また、スコットランドの分離問題は英国の基本的な憲法上の根幹に関わる大 きな改革につながっていく。その後、総選挙敗北後の労働党ならびに自民党の動向、英国独立党の将来、中国経済が世 界経済・イギリス経済に与える影響さらには中国とイギリスとの関係についての質疑を行った。
 3) ヨーロッパ改革センター(CER)とのヒアリング(10月29日(木) 16:00〜17:40)
*Ian Bond氏は質疑の中で、EU離脱に関する国民世論の動向ならびにキャメロン首相の今後の対応について説明が あり、同時にスコットランドの分離に関しては大きな問題になっていないとの見解を述べた。また、各党の将来、特に 労働党はイギリスだけで議席を獲得し多数派となることは極めて困難であり、スコットランドでの議席獲得が不可欠で る。経済に関しては混沌とした展望であり、成長が鈍化している。中国は経済関係を有効に保つ上で大きな経済圏であ るが、原発をはじめ中国への投資には懸念を持っている。最も重要なことは、中国が対英国や対欧州への投資をする際 に、我々が持っているルールを守るかどうかである。また、英国外務省が参加に否定的だったアジアインフラ投資銀 行(AIIB)にはオズボン財務大臣が強引に参加を決めた経緯があると述べた。
*ロンドンにおける在英国日本国大使館とのブリーフィングならびに公共政策研究所、ヨーロッパ 改革センターのヒアリングは在英国日本国大使館の会議室で実施。 大使館内は写真撮影厳禁のため、会議風景の写真を掲載しておりませんのでご了承願います。
          在英国日本国大使館玄関にて        ロンドン市内視察風景         ロンドン市内視察風景
4.調査団メンバー 14名(所属組織名、役職は実施時)
団    長 谷 藤 悦 史 (政研フォーラム 理事長、早稲田大学政治経済学術院教授)
副 団 長 礒 ア 哲 史 (政研フォーラム 国会議員連絡会、民主党 参議院議員)
副 団 長 徳 田 孝 蔵 (政研フォーラム 専務理事)
事 務 長 重 原   隆 (政研フォーラム 常務理事)
事務長補佐 小笠原 呂和 (UAゼンセン 政策・労働条件局・副部長)
団   員 安 達 正 美 (JP労組 労働政策局・次長)
団   員 伊 豆  望 (電力総連 労働政策局・部長)
団   員 大喜多 宏行 (日産労連 副会長 日産労組・中央執行委員長)
団   員 大田垣 貴徳 (三菱重工労組 中央執行委員)
団   員 三 輪 明 洋 (IHI労連 相生支部・執行委員長)
団   員 高 木 義 朗 (住重労連 玉島地方本部・執行委員長)
団   員 海 保 順 一 (基金労組 中央執行委員長)
団   員 飯 塚  工 (味の素労組 川崎支部・事務局長)
団   員 小 林 能 一 (UAゼンセン イトーヨーカドー労組・中央執行副委員長)
 調査実施に当たり、外務省・現地日本国大使館など、多くの関係者の方々にご協力をいただ
きました。関係者の皆様に改めまして感謝申し上げます。
                                                      以 上
政研フォーラム「第7回海外調査概要報告」
 今年度の海外調査は、ASEAN諸国との関係も深く、今後、日本にとって様々な意味で重要性を増すと思われるオーストラリアを訪問し、 政治・経済・社会・外交の分野について政府機関をはじめ関係機関とヒアリング調査を行ないました。
 日本とオーストラリアは地域的、世界的レベルにおいて重要なパートナーであり、この関係には、両国に共通する米国との同盟関係が含まれています。 日豪の包括的なパートナーシップは、民主主義、人権、法の支配という共通の価値観や、長年の緊密な協力関係に基づいています。
 経済面では、オーストラリアはTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に積極的に関与するとともに、RCEP(東アジア包括経済連携協定)への参加交渉国です。 また、昨年7月、日本とのEPA(経済連携協定)を締結し、今後、結びつきが一層深まることは確実です。
 安全保障の面では、ANZUS(太平洋安全保障条約)を基軸としており、南シナ海などで一方的な現状変更を図る中国の海洋進出の動きを念頭に、 アメリカ海兵隊や空軍のオーストラリア駐留など米国との防衛協力の強化を図るなど、中国の海洋進出等で不透明さを増すアジア・太平洋の国際環境の中で、 影響力を強めているオーストラリアの動向を探るために、安全保障問題について関係機関でのヒアリング調査を行いました。
 また、オーストラリアは1980年代以降、労働市場改革、移民政策、「小さな政府」をめざした規制緩和政策による民営化等、 国内政策でも改革を積極的に推進するとともに、政治面でも保守連合と労働党が政権交代するなど、日本にとって傾注に値する国家です。 そのような観点からも、幅広くヒアリングを行ないながら、今後の日本の政治・経済・社会・外交の各分野における、 目指すべき方向を探ることを目的に調査を実施いたしました。
 調査の実施に際しては、Asialink・メルボルン大学、COMMITTEE FOR MELBOURNE、NHKシドニー支局、シドニー大学国際安全保障研究センターの皆様方からは、 貴重なお話を伺うことができただけでなく、限られた時間の中で率直にご回答いただきましたことに対し、厚く御礼申し上げます。

1.日  程  2014年11月22日(土)〜11月28日(金)

2.訪 問 国  オーストラリア(メルボルン、シドニー)

3.訪問先
 1) Asialink・メルボルン大学でのヒアリング(11月24日(月) 10:00〜11:30)
     Jenny McGregor氏(左)          ヒアリング風景          ヒアリング風景            Asialinkロビー於
*質疑の中で、1990年代にビクトリア州で行われた電力市場の自由化について説明があり、水力発電所は全てラトロブバ レーという所にあるが、政府は効率化を図り赤字を解消するため電力市場を開放した。はじめに発電会社を公社化し、そ の後民営化したが、後になって地元経済に大きな悪影響を及ぼした。地方の自治体の失業率がとても高くなり、今もこの 問題は続いている。転職も簡単ではない。何よりも問題なのは電力業界が自由化されて電気料金が高くなったことだ。  話は変わるが、日本の経済界とオーストラリアの経済界が永年に亘って関係を構築してきたことにより、建設的な結果 を生んでいる。単に経済的なパートナーができ、日本からの投資が増えているだけでなく、日豪の企業が一緒になって第 三国で事業を行うような動きになっている。と日本との関係が深化することへの期待が強く感じられた。
 2) COMMITTEE FOR MELBOURNEでのヒアリング(11月24日(月)15:00〜17:00)
   MS Kate Roffey氏(右)       大岩団長(左) 柳澤副福団長(右)         ヒアリング風景          記念品贈呈
*Ms Kate Roffey氏(CEO)は質疑の中で、社会保障の財源は連邦政府が税収の中から負担、サービスを提供する機関は州  単位である。連邦政府は給付した財源で一定のサービス提供(水準)を求めますが、足りていない。本来連邦政府は、国  の安全保障などに使う予算も削減せざるを得ず、歪みが生じている。また、教育や医療など州が提供するサービスに対  しても様々な指示をするが、実際に行うのは州であり、大変厳しくなっている。との説明があった。   オーストラリアの税制は間接税が中心で、社会保障の大半は税金で賄っており、日本のような保険料を徴収する制度 ではなく、2015年の税制の見直しと、社会保障制度の再構築が急がれている。また、物価は高いものの年収が700万 円〜800万円、世帯所得では1000万円を超えると推定され、国土は広く、資源は豊富、経済成長も安定しており豊かな 国の代表格とみられているが、移民制度のあり方や資源の輸出に偏重した貿易中心の経済など課題は多いと感じた。
 3) 在メルボルン日本国総領事公邸でのブリーフィング(11月24日(月) 18:00〜19:00)
   ブリーフィング風景          ブリーフィング風景          ブリーフィング風景          羽田総領事(中央右)
*羽田恵子氏(総領事)は挨拶の中で、メルボルンから見た日豪関係は、豪州の日本に対する信頼・尊敬・親日感情、日本  への理解の深さなど、世界の中でも類を見ないほどで驚きである。良好な関係の柱となっているのは、50年以上に亘る  経済界の努力と、姉妹都市や学生交流など草の根レベルの人的交流であった。   2014年7月の首相訪問は12年ぶりであり、アボット首相はじめ関係者に歓迎された、今後も両国首脳が相互に訪問  し合うことが決まった。マスコミの対応も好意的で、日本が豪州と同様の価値観を持つ友人であるという認識や理解が  深まった。これまで日豪関係をリードしてきた経済関係と人的交流に政治面・安全保障面が追い付いてきた。と述べら  れ、中国の台頭が顕在化する中、今後の日豪関係の深化に期待をにじませた。
 4) NHKシドニー支局(メトロホテル)でのヒアリング(11月26日(水)10:00〜11:30)
       青木良行支局長          ヒアリング風景            記念品贈呈         メトロホテル会議室前於
*青木良行氏(支局長)は、情勢報告の中で、オーストラリアは入国管理が非常に厳しいが、国内に投資する外国人に対し  ては一定の配慮がなされており、5億豪ドル投資すれば4年以内に永住権が与えられるが、これは通常よりかなり短い  期間である。年間300件の永住権許可の90% が中国人である。   先週、オーストラリアと中国とのFTAがまとまった。FTAについて、日本のマスコミはほとんどが中国に対する警  戒の論調だが、オーストラリアでは歓迎する報道が中心であり、中国に対する受け止めの違いを指摘された。   結論は、共通の価値観を持つ友好国とみるなら、日本はオーストラリアに対し様々な分野でもっと頑張る必要がある  と述べられた。
 5) シドニー大学国際安全保障研究センターでのヒアリング(11月26日(水)14:00〜16:00)
   James Der Derian氏(左)      徳田副団長(左) 大岩団長(右)          ヒアリング風景          シドニー大学広場於
*James Der Derian氏は挨拶の中で、今日の国際政治を理解するには、多くのパワーバランスがあり、パワーバランスに  は多くの主体が網羅され、非常に多様性があり、領土・軍事力・GDPだけでは推し量れない。毛主席が「大砲の中か  ら力は生まれる」と豪語したことがあるが、現在では情報を支配できるものへ重心が移っている。これは多極化であり、 多極とは必ずしも国をさしていない。主体は情報や情報ネットワークにアクセスできるものだ。   皆さんから出された質問を考える枠組みとして、もはや単一の極とか二極の枠組みではなく、様々な主体がそこに関 わっており、どの主体が情報をコントロールして自らの力を増幅できるのか、そういう視点から考えていく必要がある。  と強調されたが、複雑な日中関係や豪中関係を背景とした内容であった。
 6) 在シドニー日本国総領事公邸でのブリーフィング(11月26日(水)18:00〜19:00)
    高岡正人総領事(左)         柳澤副団長(左 )大岩団長(右)     ブリーフィング風景        総領事を囲んでの懇談会
*高岡正人氏(総領事)から質疑の中で、個人的な見解と前置きした上で、オーストラリアは国土が広く、島国(大陸)のた  め周りの諸国が平穏に保たれていると見ているのではないか。身近な脅威としては色々な国からボートに乗ってやって  くる難民への対応である。移民に対して寛容な国とみられているが、移民と難民は本質的に違う。隣国で言えば、イン  ドネシアとの関係をどうするかが課題となっている。インドネシアは人口で10倍の大国であり、周辺国との玄関に位  置し地政学的な重要かつ難しさを抱えている。   安全対策の面では、オーストラリアにはエスニックも存在する。イラク・シリアで戦っている人が60名程度存在する  と言われている。サポートグループを含めるとさらに多い。これは不安材料である。彼らが将来この国に戻ってきて何  かを起こす、そのことを踏まえて国内の組織を撲滅すること、不審者の出国規制や帰国後のモニタリングなど身近な脅 威として存在する。事実、帰国後一か月も経たないうちにイスラム国を支持していると思われる人物が、人質立てこも り事件を引き起こし、2人の人質が死亡している。
4.調査団メンバー 11名(所属組織名、役職は実施時)
団    長 大 岩 雄次郎 (政研フォーラム 常務理事、東京国際大学教授)
副 団 長 柳 澤 光 美 (政研フォーラム 国会議員連絡会・事務局長、民主党 参議院議員)
副 団 長 徳 田 孝 蔵 (政研フォーラム 専務理事)
事 務 長 山 本 好 春 (政研フォーラム 常務理事)
事務長補佐 重 原   隆 (政研フォーラム 常務理事)
事務長補佐 鈴 木 慎 (UAゼンセン組織拡大・強化教育局部長)
団   員 渡 辺   強 (IHI労連 相馬支部・執行委員長)
団   員 海 保 順 一 (基金労組 中央副執行委員長)
団   員 町 田 雅 彦 (住重労連 田無地方本部・執行委員長)
団   員 川 村 秀 樹 (電力総連 労働政策局・部長)
団   員 強 矢 健太郎 (UAゼンセン イトーヨーカドー労働組合・中央執行書記長)
 調査実施に当たり、外務省・現地日本国総領事館など、多くの関係者の方々にご協力をいただきました。それらの関係者のご協力なくしては、 成功裏に調査を遂行することは不可能であったことは申し上げるまでもありません。
 ご協力いただきました機関ならびに関係者の皆様に改めまして感謝申し上げます。
                                                           以 上
政研フォーラム「第6回海外調査概要報告」
 日本企業の海外展開やTPPなど日本の産業・企業が直面せざるを得ない経済問題では、東南アジアを中心とするASEAN諸国が重要な存在となっています。 中国、韓国も変わらず重要なパートナーではありますが、領土をめぐる問題を含め政治的な課題に左右される状況も考えられ、 より広い形でASEAN諸国もパートナーとして考えていかなくてはならない状況にあります。
 今回の海外調査は、ASEAN諸国の中から、インドネシア、ベトナム、タイの3カ国を訪問いたしました。インドネシアは日系企業の進出が多く、 またジャカルタにはASEAN日本政府代表部を開設し、ASEAN大使を常駐させているなど、ASEAN外交の拠点となっています。
 ベトナムとは、早い段階から友好関係を築き、日本からのODAが最も多い国です。また、近年は原子力発電技術の輸出先でもあるなど、 その関係はより密接になり、今後もその重要性が高まることが予想されています。
 タイは、地域によってばらつきはあるものの経済成長を遂げている国であり、日本からも多くの企業が現地法人を開設しています。また、 日本はタイにとって最大の貿易国であり、今後も重要性が増すことが予想されます。
 またこれら諸国は、経済的な格差が大きく、貧富の差もまだまだ大きいという印象を持ちました。 しかしその中でも、日本に対する期待は、経済的支援ばかりでなく、 技術の習得などを含めた人材育成に変質しているようです。 その意味で、役割は多様化し、重要度も増しているようです。とりわけ、 今後の日本経済に影響を与えることが必至のTPPについて重要な関心を持ってヒアリングを行いました。 現状では、インドネシアは不参加を表明しているものの、ベトナムは第1回から会議に参加し、タイも今後の参加を表明しています。 各国の対応や有識者のレベルにおいても関心度は一様ではなく、まだまだまとまっていないような感じです。 一方、ASEANは2015年末に経済共同体の発足をめざしています。
 これではTPPのみならずASEANをまとめることも容易ではないと思います。 しかしながら、それだからこそ日本は政府、企業が一丸となってASEAN諸国に対し、貢献しなくてはならないと強く感じました。ぜひ報告書をご一読ください。

1.日  程  11月24日(日)〜12月1日(日)

2.訪 問 国  インドネシア、ベトナム、タイ

3.訪問先
 1) インドネシア戦略国際問題研究所でのヒアリング(11月25日(月) 9:00〜11:00)
     Yose Rizal Damuri氏(左)     難波副団長(左)岩渕団長(右)         ヒアリング風景         記念品贈呈
*質疑の中で日本国・国民、進出している日本企業のイメージを聞くと、Yose Rizal Damuri氏から、最初にオーストラリ アの調査会社がイントネシア国民へ行ったアンケートで、一番信用できる国は?との質問に86%が自身の国インドネシア と答え、次に信用できる国と言うことで、80%が貢献している国・信用できる国として日本・日本人と答えている。 そして戦略調査局でも政治調査アンケートを行なっているが、外国政策等の設問で、一番インドネシアに貢献している 国は90%が日本と答えている。こういうことから見ても日本国・日本人や企業に対して良いイメージを持っているのは事 実だ。また、インドネシアの人々は日本の企業に就職できることは憧れでもある。と述べられ、これからもよりよい関係 が構築・維持できるようお願いしたいと締めくくられた。
 2) インドネシア経済担当調整大臣府でのヒアリング(11月25日(月)14:00〜16:00)
  Luky Eko Wuryanto氏(右2人目)       Edib Muslim局長(左)          ヒアリング風景            記念品贈呈
*Edib Muslim氏(局長)は質疑の中で、経済の活性化という意味で、まず一番重要なのは今までの考え方を変えることだと 考えている。今ある経済領域の拡大ではなく、今持っているものを種とし、「次に何をするか」を考えることが必要である。 その地域が持っているものを、視点を変えて付加価値を付けていく事が重要である。例えば、魚が有名な地域なら「さ かな大学」「すし大学」を造り、研究を進め、新たな付加価値につなげていくイメージである。現在でも魚が有名な地域 があり、日本にも近く輸出もしている。そのような単なる輸出に頼るような、船が商売を追うのではなく、商売が船を追 うような活動が重要と考えている。と述べられ、計画の遅れは別にして、MP3EIの内容に対する自信が垣間見えた。
 3) ベトナム社会アカデミー南部社会科学院でのヒアリング(11月27日(水) 9:00〜11:00)
   ディ・タイサン氏(左)          チャン・チョン・クエ博士(左          ヒアリング風景          記念品贈呈
*チャン・チョン・クエ博士は、TPPについて、アメリカに続いて日本のような経済大国の参加によって、TPPの力関係 が変わってしまう、各国がどのような関心を持って参加しているのか見極めたい。一つ目は輸入米に対する課税、次に 自動車、そして最後に知的財産権である。GDPの成長率を見ると、それぞれの国が何を狙ってTPPへの参加・交渉に 取り組んでいるのかがわかる。 12カ国中でベトナムのGDPが最も低い。そのため、TPPに加入してうまく活用できるかよく考えなくてはいけな い。また、資本金が大きく違い大手企業の競争が激しくなると、相手国はGDPも高いので、政策条件に沿ってやるこ とはベトナムにとって大変不利である。と述べられ、WTOより期待は大きいが慎重姿勢が伝わってきた。
 4) JETROホーチミン事務所でのヒアリング(11月27日(水)14:00〜15:15)
       安栖宏隆所長          ヒアリング風景            記念品贈呈         JETROホチミン事務所玄関於
*安栖宏隆所長は、情勢報告の中で、外国直接投資は、2013年度は過去最大となる見通しで、日本は全体の51%を占めてお り、日本からの投資を大歓迎している。日本からの投資件数は増えてきている。投資のメリットは、豊富な人材と勤勉で 安価であるということである。9,000万人の人口に将来、期待ができ、安定した政治と宗教問題の発生がなく、香港とシ ンガポールの中間地点、中国とASEANを結ぶ位置にあることなどが挙げられる。また、安い電気料金や大規模な自然災 害が少ない点がある。 デメリットは、現地調達性の低さや中間マネジメント層の人材確保が難しいこと、また、国土が南北に細長く流通コス トがかかることである。賃金上昇や物価上昇も挙げられるが、インフラ整備に非常に時間がかかっていることなどを指摘 されたが、日本との関係は大いに期待できると感じられた。
 5) タイ中央銀行でのヒアリング(11月29日(金)10:30〜12:00)
   Cheerapan O_Lanthanasate氏      岩渕団長(左) 通訳(右)          ヒアリング風景          記念品贈呈
*Cheerapan O_Lanthanasate氏:タイと日本は古くから友好関係にあり、日本に対するイメージは良い。日本がタイの産 業界発展を推進していく第一人者であると信じている。また、日本からタイへの積極的な投資も期待している。日本経 済成長はタイの対日輸出に大きく寄与し、結果としてタイ経済が活性化することになる。タイは日本のサプライチェー ンの一つであり、強いリンケージにある。 日系企業に期待することは、タイへの技術移転や人材育成に協力して欲しい。タイでは単純労働力が不足する一方で、 より生産性の高い労働力の確保が求められている。政府としても企業に技術支援を働きかけ、職業訓練校などを開設し ているが、なかなか結果につながっていない。との話があり、ヒアリングを通じ東南アジアの中のリーダーも、途上国 の追い上げと先進国との距離感に苦悩している現状をうかがい知ることができた。
 6) タマサート大学東アジア研究所でのヒアリング(11月29日(金)14:30〜16:30)
    Kriengkri Techakanon教授         ヒアリング風景           記念品贈呈          東アジア研究所玄関前於
*質疑の中でタイの政治情勢について論議となり、Kriengkri Techakanont教授は、政治的な構造がまだ限られているうち は問題がない。タイは結構アメージング国だが私だけでなく、近隣国の仲間も同じようなことを言っている。過去の例で 言えば、バンコクで大きなデモがあっても、工業団地や港はそのまま操業することができ、止まることはなかった。 2008年の空港閉鎖まで至ったのは例外だった。 政治問題と経済は別と考えている。タイは輸出国であり輸出が伸びるかどうかを心配している。政治家やリーターも結 局喧嘩しつつ国のことも考えている状況である。タイの大きな課題は技術移転の問題と質の高い技能・技術者の育成であり、 日本の支援を引き続きお願いしたい。との話があり、タイ中央銀行の話とオーバーラップした。
調査団メンバー 15名(所属組織名、役職は実施時)
団    長 岩 渕 美 克 (政研フォーラム常務理事、日本大学法学部・教授)
副 団 長 徳 田 孝 蔵 (政研フォーラム専務理事、UAゼンセン・顧問)
副 団 長 難 波 奨 二 (政研フォーラム 国会議員連絡会・委員、民主党 参議院議員)
事 務 長 山 本 好 春 (政研フォーラム常務理事、日産労連 日産販労・顧問)
事務長補佐 迫   大 助 (住重労連 中央執行委員)
事務長補佐 武 田 建 (味の素労組 中央執行副委員長)
団   員 山 田 徳 幸 (IHI労連 中央執行執行委員)
団   員 縄 野 徳 弘 (交通労連・書記長)
団   員 新 井 康 弘 (JP労組 中央執行委員、総務財政局次長)
団   員 下田原 寿 (JP労組 中央執行委員、組織局次長)
団   員 吉 岡 敦 士 (住重労連・書記長)
団   員 水清田 聡 (日産労連・副会長、部労・組合長)
団   員 豊 嶋 稔 (電力総連 政治渉外局・次長)
団   員 若 杉 高 志 (電力総連 政治渉外局長)
団   員 千代田 祐 樹 (UAゼンセン イトーヨーカドー労働組合・中央執行委員)
調査実施に当たり、外務省・現地日本国大使館・総領事館など、多くの関係者の方々にご協力をいただきました。 それらの関係者のご協力なくしては、成功裏に調査を遂行することは不可能であったことは申し上げるまでもありません。  ご協力いただきました機関ならびに関係者の皆様に改めまして感謝申し上げます。
                                                        以 上
「第5回海外調査概要報告」
 政策研究フォーラム「第5回海外調査」は、南欧の債務危機に端を発した「ユーロ危機」を踏 まえて、EU地域の経済動向、財政動向を探ると共に、 「ユーロ危機」以後の産業・経済・金融・ 財政政策などを調査しました。EU主要国のドイツ、フランスに焦点をあて、 両国政府の経済・ 金融・財政担当から広く情報を収集し、意見を交換しました。
 政権交代後のフランスでは、フランス経済財政省、フランス中央銀行を訪問し、ユーロ危機を どのようにとらえているのか、 ユーロ危機に対する対応策と成果、政権交代後のフランスの産 業・経済・金融・財政政策、ギリシャ、スペイン、イタリアの今後などについて意見を交換し、 合わせて日本の政治や経済に対する期待は何かなどについても議論しました。
 ドイツでは、ドイツ経済技術省、ドイツ経済研究所を訪問し、ユーロ危機に対するドイツの対 応、ドイツの経済・金融動向、 ユーロ危機に対するフランスとの政策調整などについて意見を交 換しました。
 さらに、EU本部では、「ユーロ危機」に対応したEUの政策メニューを探ると共に、今後の ヨーロッパの金融・経済動向ならびに通貨統合の将来について議論しました。 世界経済が大きな転機を迎えている現在、ヨーロッパ主要国の政策メニューは、わが国の経 済・金融・財政政策を考える上でも大きな意味を持つと思われます。
最後に、海外調査の実現にお骨折りをいただいた、外務省始め在独日本国大使館・在EU日本 国代表部・在仏日本国大使館の皆様方、当フォーラムの加盟団体、さらには、今回の海外調査を 「連帯感」あふれ、充実した調査にしていただいた調査団の皆様方に、改めまして感謝申し上げ ます。

1.日  程  10月24日(水)〜10月31日(水)

2.訪 問 国  ドイツ、ベルギー、フランス

3.訪問先
 1) ドイツ経済技術省でのヒアリング
(10 月 25 日(木)10:00〜12:00)
     Bronstrup 氏(右)         ヒアリング風景            ヒアリング風景         経済技術省の玄関にて
*Bronstrup 氏:ユーロ危機は欧州最大のテーマであり、ドイツは比較的うまくいっていると言われるが、ユーロ
 圏の経済ということで問題になっている。危機の原因には、3つの信用失墜がある。第1は信用の危機だ、特に
 国家財政の持続可能性が問題となっている。第2は信用失墜による競争力の失墜で、第3は政治的行動に対
 する不信である。危機対策とは、これら3つに対応し、それらを克服すること、そのためのコンセプトを示すこ
 とだと力説された。その後質疑に入り、団長を始め参加者から20を超える質問を行った。質疑の途中で、日本
 は債務が多いのに、なぜ債務危機にならないのか?と、逆に質問される場面もあった。全体を通じて、ドイツ経
 済の強さとメルケル政権の自信の程が感じ取れた。
 2) ドイツ経済研究所(DIW)でのヒアリング(10 月 25 日(木)14:00〜16:00)
      Dreger 氏            谷藤団長(左奥)          ヒアリング風景            ヒアリング風景
*Dreger 氏:EU の財政に関するひとつの考え方として、「構造基金」というものがある。これは、遅れた地域を刺
 激して、EUの恩恵を受けられるようにするものである。この方法の効果については、異論がある。イタリアにつ
 いては、何十年たっても南北の格差が縮小していない。ドイツも国民所得は東の方が 20%低い状態が続いて
 いる。構造基金を使うことは、EU全体の成長にもつながるだろうが、そのためには、方策の効果を正しく評価す
 ることが必要であるとの説明があ った。質疑を通して債務危機解決には、ドイツ政府より厳しい見方をしている
 と感じた。
 3) 欧州委員会経済金融総局でのヒアリング(10 月 26 日(金)16:00〜17:30)
   BERTOLDI 氏(中央)        谷藤氏・徳田氏・谷口氏          ヒアリング風景          ヒアリング風景
*BERTOLDI 氏は、5年間ほど日本に住んでいたこともあって好意的に受け入れてくれた。そして、EU が今日ま
 で取り組んできたことは、単に危機を安定化させるために必要な措置で、これでは不十分である。本当に強固
 な経済通貨同盟を実現させるために、ガバナンスの体制を強化する必要がある。そして銀行・金融・財政・政
 治的にさらに同盟関係を強化する必要があると力説された。債務危機対策の中心的な役割を担っているだけ
 に、温和な表情とは違う厳しさが感じ取れた。
 4) フランス中央銀行でのヒアリング(10 月 29 日(月)10:00〜12:00)
   仏中央銀行の皆さん          ヒアリング風景            谷藤団長(中央)         仏中央銀行玄関於
*スペイン・ギリシャ以外に問題を抱えている国はないのか?、との質問に対し、市場は良くわかっているが、ポ
 ルトガル・キプロスは難しいし、イタリアは財政赤字が多い。危機が起こってから改革していくのではなく、そ
 れぞれの国で努力すべきだ。アイルランドは危機の始まった時期に大変苦しんだが、改革を行い競争力を盛り
 返した。ここ一番の強さを持っている。ポルトガルに関しては、政治的な問題はあるが大きな心配はない。キ
 プロスに関しては、銀行のシステムの問題である、との答えであった。5カ月が経ち、キプロスの銀行システ
 ムが、今、国を挙げた問題になっている。
 5) フランス経済財政省でのヒアリング(10 月 29 日(月)15:00〜17:00)
       Joder 氏         谷口氏・徳田氏・谷藤氏          ヒアリング風景        仏経済財政省玄関於
*Joder 氏:EU の財政ルールや予算作成については、フランスではここ数週間でかなりの進展があった。EU 諸
 国は財政契約(フィスカル・コンパクト)という条約を批准した。これは、財政上の取り決めとガバナンスを規
 定したものであり、これには3つの大きなルールがある。第1は、財政の中期的目標を定め、均衡予算にもどる
 ことだ。フランスの場合は(GDP 比)0.5%以上の赤字は許されないこととされている。第2は、目標から乖離し
 た場合にはそれを自動 的に是正するメカニズムを導入することである。第3は、政府から独立した機関で、財
 政を監督する機関を設立する ことだ。との状況説明の後、質疑応答を行った。全体には、フランス政府の積極
 的な取り組みと、国内経済を含め順 調に推移しているとの印象であった。
 6) フランス経済情勢観測所(OFCE)でのヒアリング(10 月 30 日(火)10:00〜12:00)
     Cacheux 氏             ヒアリング風景          ヒアリング風景          記念品の贈呈
*Cacheux 氏:現在、ヨーロッパ諸国の債務総額は GDP 比の 80%に達している。これはアメリカ、日本、イギリ
 スに比べれば割合は低いと言える。しかし、ユーロ圏の問題は、財政政策が中央で一元化されておらず、各国
 に分散化していたため、ヨーロッパ全体で連帯性による措置が機能していなかったことに起因している。また、
 ヨーロッパ諸国のマクロ経済は非常にバラツキがあり、北の各国は競争力を増し、南は競争力を低下させたと
 いう問題がある。フランスは、北でも南でもなく、その中間にあるとの説明の後、質疑応答を行い、数多くの
 質問に身振り手振りで答えていただいた。全体を通じて、債務危機への対処は、フランスの公的機関より厳し
 い見方と、長いスパンが必要だとの認識であった。
 7) ブルージュ(旧市街地)視察(世界遺産)(10 月 27 日(日)10:00〜14:00)
*早朝のブリュッセル市内を後にして一路ブルージュヘ、「水の都」「北のヴェネツィア」「屋根のない美術館」など
 の異名をとる、ベルギーの古都ブルージュ。ブルージュとは、オランダ語で「橋」という意味で、その名のとおり、
 街を縦横に流れる運河に 50 以上の橋が架けられている。運河沿いには中世の建物が美しく残っており、船に
 乗って歴史的建造物を見ることができる。また、ブルージュは旧市街地が歴史地区として世界遺産に登録され
 ており、13 世紀〜15 世 紀の「鐘楼」「聖母教会」「ベギン会修道院」も個別に世界遺産登録されているなど、
 ベルギーの観光都市として世界各 国からの観光客で賑わっている。
4.調査団メンバー 13名(所属組織名、役職は実施時)
団    長 谷 藤 悦 史 (政研フォーラム理事長、早稲田大学 政治経済学術院・教授)
副 団 長 徳 田 孝 蔵 (政研フォーラム専務理事、UIゼンセン同盟・副会長)
副 団 長 谷 口 洋 志 (政研フォーラム常務理事、中央大学 経済学部・教授)
事 務 長 山 本 好 春 (政研フォーラム常務理事、日産労連・日産販労・顧問)
事務長補佐 千 頭 洋 一 (UIゼンセン同盟 労働条件局・部長)
事務長補佐 當 間 錦 也 (電力総連 労働政策局・部長)
団   員 重 原   隆 (日産労連・副会長)
団   員 大 橋   昇 (IHI労連 名古屋支部・執行委員長)
団   員 窪 田 義 明 (JP労組 労働政策局・局長)
団   員 田 中 徳 行 (JP労組 総務財政局・局長)
団   員 西 谷 直 城 (住重労連・書記長)
団   員 今 中 崇 博 (電力総連 労働政策局・次長)
団   員 水 口 義 隆 (UIゼンセン同盟 イトーヨーカドー労働組合・中央執行委員)
 調査実施に当たり、多くの関係者の方々にご協力をいただきました。それらの関係者のご協力
なくしては、成功裏に調査を遂行することは不可能であったことは申し上げるまでもありません。
 ご協力いただきました機関ならびに関係者の皆様に改めまして感謝申し上げます。
                                                        以 上
「第4回海外調査概要報告」
 本年度の海外調査は、リーマン・ショック後も先進国の苦戦を尻目に、成長を続けるアジア経済に視点を置き、シンガポールで全体の構造を調査し、 特に中国と世界の工場を二分するインドの経済を支える、政治・金融・社会システムと日本の役割について、現地に赴き、政治や外交政策、 経済政策に求められる動向を中心に調査を行いました。
 シンガポールは、建国後40年余りの新興国でありながら、世界経済フォーラム(WEF)がまとめた2009〜2010年世界競争力ランキングで、 133カ国中3位にランクされております。 また、世界銀行と同グループの国際金融公社(IFC)の世界183ヵ国・地域を対象にビジネスのしやすさを調査した年次報告「ビジネス環境の現状」によると、 規制改革の進展度を比較した総合ランキングでも、近年連続で1位を維持しています。(残念ながら日本は15位程度となっています。)
 シンガポールは、30〜40年後には650万人という人口を想定して、アジアの成長エンジンである中国とインドといった両大国の台頭を意識しながら、 より早いスピードで高度知識社会の実現を目指しています。
 一方、存在感が増しているインドは、長い間保護主義的な経済政策を続けてきましたが、1991 年の経済開放以来、 世界の巨大市場・BRICs(伯、露、印、中)の一角として高い経済成長率が維持され、今後も長期にわたる成長が期待されています。 日印関係をみると、円借款において2003 年度に中国を抜きインド向けが最大となり、同国は日本にとって最重要支援国の1 つとなりましたが、 日本企業の進出は中国に比べ未だ低い水準に留まっています。 インドは依然発展途上とはいえ、5年や10年先にインフラが整備されれば、より加速度的に発展する可能性があり、 貿易赤字の問題や環境問題などを抱えているものの、今後、飛躍的に伸びる可能性は高く、世界が注目している国の一つです。
 将来のアジアの成長を先取りして調査する観点から、この2か国は非常に重要であり、様々な課題や問題点を踏まえた調査を行い、 情報収集・課題整理を行うことを目的として実施しました。
 尚、調査内容の詳細報告は、3月を目処に「第4回海外調査報告書」として取り纏めます。

1.日  程  11月25日(金)〜12月2日(金)

2.訪 問 国  シンガポール、インド(デリー・ムンバイ)

3.訪問先
1) 在シンガポール日本国大使館によるブリーフィング
(11月25日10:30〜12:00)
     大使館の皆さん         団長(中央)副団長(両サイド)      ブリーフィング風景      大使館の玄関にて
*シンガポール大使館では、山本公使、井関参事官初め担当書記官から説明を受けた。1964年に独立後、外為・金融市場を 開き、東南アジアの資金が集中する政策をとってきた。また、研究の分野でもハブとしての機能を高めるため国立大学に 東南アジア研究所を置き、医療・医薬の集積地としての認知度を広げている。食糧やエネルギーは他国に任せ、自国は 高付加価値の産業を育て他国との競争に勝つ国家戦略を取っている。

2) 在インド日本国大使館によるブリーフィング(11月28日10:00〜12:00)
      大使館の皆さん     谷口団長(中央)徳田副団長(手前)     ブリーフィング風景       大使館の玄関にて
*塚田経済公使から経済の現状・日印関係、日系企業の動向について、各担当書記官から内政・外交、産業政策などの説  明を受けた後、質疑を行った。インドは豊富な若年人口と高い潜在性を備えている。過去5年平均で8.4%という高い経 済成長を遂げている。2030年頃には10億人に達する豊富な生産年齢人口になる。現在2.4億人の中間層(可処分所得 5千ドル〜35千ドル)が2030年には7.9億人、人口の5割超まで成長する見込みであることなど、インフラ整備の遅 れやインフレ問題、さらには法的規制や税制などの障壁も多いが、親日度も高く長期的には魅力のある相手国と感じた。

3) インド国際経済関係研究所からのヒアリング(11月29日10:30〜12:00)
   H.K.シン議長(中央)        徳田副団長(奥)谷口団長(中央)       ヒアリング風景       ヒアリング風景
*サンディラ・ジョージICEIER日本プロジェクト担当より挨拶の後、H.K.シン印米政策研究部門議長(前駐日インド大使)  より日印関係の現状について、レーム・コーリー氏(元インド中央銀行、IMF勤務)よりインドのマクロ経済の状況につ  いて、スラバーニ・チャウダリ氏(ジャワハルラール・ネール大学准教授)より在インド日系企業の活動状況とその特徴  について詳細な説明を受けた。インド経済の問題点や課題については、大使館での説明とも合致するもので、冷静かつ 緻密に分析されたものと感じた。但し、日系企業の労使紛争(ストライキ)に対する我々の認識とは少し温度差もあった。

4) 在ムンバイ日本人会(商工会)からのヒアリング(11月30日10:00〜12:00)
 総領事(左)日本人会(右)の皆さん      質問する団長(中央)          ヒアリング風景          記念品の贈呈
*デリーにある日本商工会は、インド中央政府に対応する機能を有し、「戦略的グローバル・パートナーシップ」締結  から、今後両国の政治・経済のあらゆる方面に発展する潜在力があるとして、毎年「対インド政府建議書」を提出し  インド経済の発展と日印関係強化に貢献しようと活動している。ムンバイとは個々に独立した活動を展開している。

5) NASSCOMからのヒアリング(11月30日14:00〜15:40)
   Rajiv副会長に土産品を贈呈        ヒアリング風景          熱弁を振るう副会長          ヒアリング風景
*NASSCOMは、ITC産業のソフトウェア部門の成長を促進すること等を目的に、1200社を超えるITC関連企業が参加する   非営利団体で、この分野の知見と影響力は大変大きなものあるとのこと(総領事館)。Rajiv副会長から組織の紹介を受   けた後、我々の質問内容に応えて貰った。団長からさらに、アウトソーシングを中心とするICTサービス提供における   インドと中国との差異、クラウド・コンピューテングやモバイル・コンピューテングへの対応など、具体的な質問を投 げかけた。

6) ボンベイ商工会議所からのヒアリング及び昼食(12月1日10:30〜13:00)
     ヒアリング風景         商工会議所の皆さん         DVDでの組織の紹介        会議後の昼食風景
*ボンベイ商工会議所では、商工会議所の歴史や活動についてDVDで紹介があり、その後、各業界の代表者から日本に  対し、質問や要望が述べられた。調査団としては、事前に領事館を通じ我々の質問内容を提出していたが、前半に時間  を費やし多くの事は聞けずじまいとなったが、日本に対する国家間協力への期待は相当なものを感じた。

7) カースト制度の一部「洗濯カーストの現場視察」(12月 1日15:00〜15:30)
      洗濯場風景            洗濯場風景          洗濯従事者            洗濯場風景
*4千年の歴史を持つカースト制度は、今も脈々と受け継がれている。洗濯物を回収する人、運ぶ人、洗う人、乾す人、  たたむ人、届ける人など作業は十数種類に分類されているとのことであった。少し離れていたが懸命に作業している人 々の姿を確認することができた。不満やトラブルも余りないとの事、カーストの歴史や奥深さを感じつつも、我々から は素直に受け入れ難い現実を見ることとなった。

4.参加メンバー 15名(特別ゲスト1名)
   ≪調査団メンバー≫
   団   長   谷 口 洋 志(政研フォーラム常務理事、中央大学 経済学部教授)
   副 団 長  加賀谷  健(国会議員連絡会・事務局長、民主党参議院議員、党政調会長副会長)
   副 団 長  徳 田 孝 蔵(政研フォーラム専務理事、UIゼンセン同盟副会長)
   事 務 長  山 本 好 春(政研フォーラム常務理事、日産労連・日産販労顧問)
   事務長補佐 芹 田   敦(電力総連 組織局 部長)
   事務長補佐 藤 川 大 輔(三菱自工労組 中央執行委員)
   団   員   木 村 好 伸(IHI労連 中央執行委員長)
   団   員   松 木 竹千代(住重労連 愛媛地方本部 執行委員長)
   団   員   慶 島 譲 治(JR連合 組織部長)
   団   員   木 暮   弘(UIゼンセン同盟 流通部会 副事務局長)
   団   員   里 内 義 次(JR連合 JR西労組 中央執行委員)
   団   員   木  章(日産労連 副会長、部労 組合長)
   団   員   増 田 光 儀(JP労組 書記次長)
   団   員   松 本 芳 郎(JP労組 組織局 教育部長)
   団   員   川 村 秀 樹(電力総連 社会・産業政策局 部長)
   特別ゲスト  高 倉   明(労組連絡会 議長、日産労連 会長)*シンガポールのみ合流

  調査実施に当たり、加盟団体、日本の政府機関、シンガポール・インドの政府機関、民間団体など、多くの関係者の方々にご協力をいただきました。 それらの関係者のご協力なくしては、成功裏に調査を遂行することは不可能であったことは申し上げるまでもありません。  ご協力いただきました機関ならびに関係者の皆様に改めまして感謝申し上げます。
                                                        以 上
《第3回海外調査概要報告》
    本年の海外調査団は、オバマ民主党政権誕生後、核兵器の削減の他にも、社会保障、教育政策など、いくつかの分野で政策の転換がはかられつつあるアメリカで、 オバマ政権の政策動向、とりわけ原子力発電の開発などを中心としたエネルギー政策、地球温暖化に対する環境政策の基本的な考え方とその対応策を中心に調査を行いました。  また、本年は中間選挙の年であることから、民意の動向や中間選挙キャンペーンの終盤情勢を追いかけるとともに、今後のアメリカ政治の展望を探ることにしました。 時間の制約や通訳を介しての質疑でありましたが、質問項目を事前に提出しておいたことや、概要説明を極力省き質疑を中心にするなど工夫した結果、 今後の国際政治や日本の政治、経済、環境・エネルギー政策を展望する上で有意義な機会になったと考えております。

  1.日  程  10月25日(月)〜11月2日(火)

  2.訪 問 国  アメリカ(ワシントン、ニューヨーク、サンフランシスコ)

  3.訪問目的
    1) オバマ政権の環境・エネルギー政策の動向
    2) 中間選挙の見通しと今後の政治・経済等への影響

  4.訪問先
    1) 在米日本国大使館によるブリーフィング(10月25日15:00〜16:30)
   ブリーフィング風景         ブリーフィング風景        中央左谷口団長・右城島副団長    正面奥が大使館の皆さん
*在米日本国大使館では、林肇公使からアメリカの情勢について総括的に説明を受けた後、 各担当書記官から、政治情勢、環境・エネルギー政策、経済情勢と経済政策、 雇用情勢と政策について詳しく説明を受けた。 引き続き、円高ドル安に対するアメリカの対応や人民元に対する考え方、 環境問題に対する議会や世論の動向、原子力政策の動静、雇用情勢と財政問題について質疑を行った。

   2) 環境保護庁からのヒアリング(10月26日10:00〜11:30)
   ヒアリング風景           ヒアリング風景          左手前:Martin Dieu副部長      全員での記念写真
*国際政策部のマーティン・デュー副部長は、学生時代交換留学生として来日、環境保護庁入庁後に1年間環境省および 経済産業省(旧通産省)に派遣された体験があり、快く対応してもらった。  環境保護庁の概要説明の後、気候変動への取り組みやC&Tに関するアメリカの立場について説明があり、政治的にも  難しい側面を覗かせていた。また、炭素税の導入については、中間選挙を控えていることや雇用情勢が悪く、このタイ ミングでの増税論議はご法度となっているとのことであった。

   3) AFL−CIO本部からのヒアリング(10月26日13:30〜16:00)
   国際局長と次長           ヒアリング風景          AEL-CIO担当者の皆さん      玄関での集合写真
*AFL-CIO本部では、国際局長と次長に出迎えて頂き、局長から冒頭の挨拶で、両国の労働組合の担当者が交流する機会 は大切だと歓迎の意が伝えられました。その後、ブラックウェル氏からオバマ政権の経済政策について、シルヴァース 政治局長から中間選挙の情勢について、ロバート・ボー産業局長から産業政策の特徴点について、説明があり夫々質疑 の時間では、活発に意見が交わされた。

   4) コンサルティング会社「ITTA社」代表者との朝食勉強会(10月27日7:30〜9:20)
   谷口団長挨拶           左側:エリック・ランデル氏          勉強会風景          記念品の贈呈
*エリック・ランデル代表から、オバマ政権下での環境・エネルギー政策の特徴点やオバマ政権における評価と今後の 展望、さらには、電力業界が直面する8つの課題について説明があり、その後質疑を行った。 質疑では、C&Tが立法化できなかった理由や代替法について、また、石炭火力発電と原子力発電の地域特性につい ても説明があった。

   5) NHKワシントン支局からのヒアリング(10月27日10:30〜12:00)
   中央河野支局長と梶原記者        ヒアリング風景          ヒアリング風景          TVスタジオ見学
*河野支局長・梶原記者に対応頂き、初めに支局長からオバマ政権に対する世論調査について報告、中間選挙の見通し として、何とか上院は過半数確保できても、下院は民主党にかなり厳しい結果が出るとの予測であり、アメリカのメ ディアも同様の見方との話であった。特にティーパーティーの活動が活発になっており、その影響は避けられないと のことであった、一方オバマ政権の日本の政権に対する評価は先ず先ず、アジア外交の特徴や東アジアの安全保障の   考え方について説明を受けた。

   6) ニューヨーク 2001.9.11「グランド・ゼロ」復興現場視察(10月28日14:00〜14:30)
         復興現場1号棟         復興現場            復興現場          復興現場
*金融・証券会社の隣にぽっかりと口をあけた一角があった。グランドゼロである。1号棟は40階近くまで鉄骨が 組まれており、4号棟も建設が進んでいた。2・3号棟は地下6階部分が工事中で、クレーンがところ狭しく動き 回っていた。完成すれば世界経済の中心地となることだろう。反対意見もあったそうだが、アメリカ人気質を見る ことができた。

   7) 電気事業連合会・ワシントン事務所(本部東京)からのヒアリング(10月29日10:00〜11:40)
   司会:山本常務理事           谷口団長挨拶        ワシントン事務所藤原首席         ヒアリング風景
*電事連ワシントン事務所の藤原首席から、詳細な資料に基づいて、オバマ政権のエネルギー関連の主な政策、エネル ギー需給見通し、気候変動法案の動き、変動対策をした場合の需給見通し、原子力関連の動きについて説明を受けた 後、原子力発電に対する地域の理解は?、燃料輸送におけるリスク管理は?、検査期間の延長や出力増強に対する地 域の受け止めは?、新規案件に対する日本のメーカーの関わりは?、などの質疑を行った。

   8) シンクタンク「FPI」からのヒアリング(10月29日14:00〜16:00)
    ヒアリング風景           奥:James A Parrott氏と団長     手前:James A Parrott氏         ヒアリング風景
*James A Parrott氏に対しては、@アメリカの景気の現状とオバマ政権の経済政策、A金融・財政・為替政策と円・人民  元レートへの影響、さらには、財政支出と規律の両論に対する考え方、B労働と雇用の現状、特に高失業率の中で雇  用の創出の具体的政策について話を聞いた。質疑では、オバマ政権の経済刺激策は規模が小さいとの財界や労働界の  意見があり、James A Parrott氏に考えを聞いた。

6.参加メンバー 15名
   ≪視察団メンバー表≫
   団   長  谷 口 洋 志(政研フォーラム常務理事、中央大学 経済学部教授)
   副 団 長 城 島 光 力(民主党衆議院議員、党政調会長代理)
   副 団 長 徳 田 孝 蔵(政研フォーラム専務理事、UIゼンセン同盟副会長)
   事 務 長 山 本 好 春(政研フォーラム常務理事、日産労連・日産販労顧問)
   事務長補佐 大 濱 直 之(UIゼンセン同盟 沖縄県支部 支部長)
   事務長補佐 柴 原 英 樹(味の素労組 本部中央執行委員)
   団   員 石 井   徹(UIゼンセン同盟 セブン&アイグループ労連 事務局長)
   団   員 小 室 隆 行(JP労組 中央執行委員)
   団   員 板 木 孝 三(電力総連 政治渉外局 部長)
   団   員 及 川 裕 介(電力総連 組織局 部長)
   団   員 太 田 一 則(電力総連 社会・産業政策局 次長)
   団   員 江 口   実(日産労連 副会長)
   団   員 宮 沢 恒 行(住重労連 書記長)
   団   員 芝   恵 造(基幹労連 中央執行委員)
   団   員 小 西 啓 介(基幹労連 中央執行委員)

 調査実施に当たり、加盟団体、日本の政府機関、アメリカの政府機関、民間団体など、多くの関係者の方々にご協力をいただきました。 それらの関係者のご協力なくしては、成功裏に調査を遂行することは不可能であったことは申し上げるまでもありません。
 ご協力いただきました機関ならびに関係者の皆様に改めまして感謝申し上げます。
第3回海外調査団報告書
1.海外調査団報告書に寄せて 谷口洋志
2
2.調査団の構成  
3
3.調査団日程  
4
4.調査報告
 T.ワシントン
   1.在米日本国大使館  江口実、小室隆行、石井徹
5
   2.米国環境保護庁 芝恵造、小西啓介
14
   3.AFL−CIO本部 徳田孝蔵、大濱直之
17
   4.ITTA社(コンサルティング) 太田一則、及川裕介
28
   5.NHKワシントン支局 板木孝三、柴原英樹
31
 U ニューヨーク
   1.電気事業連合会・ワシントン事務所 宮沢恒行、太田一則
36
   2.PFI(シンクタンク) 谷口洋志、小室隆行
45
   参考資料1  
50
   参考資料2  
53
   参考資料3  
56
*谷口洋志(団長)、徳田専務理事は全体の編集・監修を担当。  
 
*山本は録音・写真・資料等を担当。  
 
*個別テーマについては、関係担当者からのヒヤリング内容を中心に作成した。
   ◆A4判 62頁 500円、送料80円
 
《第2回海外調査団速報!》
  第2回海外調査主な活動

 本年度の海外調査は、東西冷戦構造の崩壊から20年を迎えるに当たり、「EU域内の旧東欧諸国が政治・経済・社会(特に社会保障制度)の領域で、 政策上どのように変化しているのか、また、その変化はどのように定着しているのか」の視点で実施し、 政策の研究と提言に資する機会を、関係各位と共有したいと考え実施した。
1) 訪問国 ハンガリー(ブダペスト)、チェコ(プラハ)、ドイツ(ドレスデン)の3カ国
2) 基本日程 10月24日出発〜11月1日帰国
3) 参加者 大岩雄次郎氏(東京国際大学教授)を団長に、各構成組織・事務局で計9名となった。

1.在ハンガリー共和国日本国大使公邸でのブリーフィング・意見交換会
1) 日時:2009 年 10月25日(日)18:00〜  2) 会場:ハンガリー日本大使公邸
3) 内容:ハンガリーの現状(政治概要、経済概要、社会保障制度の概要)のレクチャーを受けた。
2.ハンガリー政府機関「社会問題・労働省」へのヒアリング
1) 日時:2009 年 10月26日(月)9:30〜12:45   2) 会場:社会問題・労働省 会議室
3) 内容:調査団からの事前提出の質問に対し、プレゼンテーションの後に質疑を行ったが、
  大幅に予定時間を超過した。
3.ハンガリー政府機関「国家開発・経済省」へのヒアリング
1) 日時:2009 年 10月27日(火)9:30〜11:30   2) 会場:国家開発・経済省 会議室
3) 内容:調査団からの事前提出の質問に対し、プレゼンテーションの後に質疑を行った
4.在チェコ共和国日本国大使公邸でのブリーフィング・意見交換会
1) 日時:2009 年 10月27日(火)18:40〜   2) 会場:在チェコ日本大使公邸
3) 内容:チェコの現状(政治概要、経済概要、社会保障制度の概要)のレクチャーを受けた。
5.チェコ政府機関「保健省」へのヒアリング
1) 日時:2009 年 10月29日(木)9:00〜10:20   2) 会場:保健省 会議室
3) 内容:調査団からの事前提出の質問に対し、プレゼンテーションの後に質疑を行った。
6.チェコ政府機関「労働社会省」へのヒアリング
1) 日時:2009 年 10月29日(木)10:30〜12:00   2) 会場:労働社会省 会議室
3) 内容:調査団からの事前提出の質問に対し、プレゼンテーションの後に質疑を行った
7.チェコ政府機関「財務省」へのヒアリング
1) 日時:2009 年 10月29日(木)14:00〜15:40   2) 会場:財務省 会議室
3) 内容:調査団からの事前提出の質問に対し、プレゼンテーションの後に質疑を行った。
≪調査団メンバー≫
 団   長  大岩 雄次郎(政研フォーラム 常務理事、東京国際大学教授)
 副 団 長  徳 田 孝 蔵(政研フォーラム 専務理事、UIゼンセン同盟 副会長)
 副 団 長  臼 杵   博(JP労組 中央副執行委員長)
 団   員  鹿 島   豊(電力総連 社会産業政策局 次長)
 団   員  鎌 田 佳 伸(交通労連 総務・教宣部長)
 団   員  山 ア 武 彦(UIゼンセン同盟 セブン&アイグループ労連
                 イトーヨーカドー労組 中央執行副委員長)
 事 務 長  山 本 好 春(政研フォーラム 常務理事、日産労連 特別中央執行委員)
 事務長補佐 山 田 清 秋(UIゼンセン同盟組織強化・教育局部長)
 事務長補佐 山 口   明(日産労連 リック局 局長)        <順不同・敬称略>

☆調査の実施にあたり、加盟団体、政府機関、各国の政府機関など、さまざまな方々のご協力を いただきました。それらの機関ならびに皆様の協力なくしては、成功裏に調査を遂行すること は不可能でした。ご協力をいただいた、それぞれ機関ならびに皆様に改めて感謝申し上げます。
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